魔王戦本戦・準決勝 vs. 中村プロ
解析
第1ゲーム(0-0/7)
ミスなく進んだ結果、ダブル・パスで1点を奪われます。
第2ゲーム(0-1/7)
4手目・テイク
2-ply キューブレスエクイティ +0.607 (マネー: +0.601)
. 0.785 0.046 0.000 - 0.215 0.016 0.000
Cubeful equities:
. 1. ダブル、パス +1.000
. 2. ダブル、テイク+1.140 (+0.140)
. 3. ノーダブル +0.985 (-0.015)
Proper cube action: ダブル、パス
この時点でピップが125-153で28負けていて、28/125=22.4%なので、圧倒的にパスです。今すぐヒットできるわけでもないし、ボードも悪いし、バックマンでも負けているので、4要素で考えてもパスです。この大パスをなぜかテイクして、進んで行きます。
12手目・ダブル
2-ply キューブレスエクイティ +0.384 (マネー: +0.373)
. 0.635 0.137 0.004 - 0.365 0.037 0.000
Cubeful equities:
. 1. ダブル、テイク+0.698
. 2. ダブル、パス +1.000 (+0.302)
. 3. ノーダブル +0.441 (-0.256)
Proper cube action: リダブル、テイク
この局面、次に2ポイントか3ポイントのブロットをヒットできれば、ほぼ必勝形になるので、仮にそうなればダブルは打てなくなります。つまり、スイングの大きな手であるために、ここでダブルを打たなければならないのでしょう。
この後、1点失って3対0になります。
第3ゲーム(0-3/7)
5手目にして6ゾロを振って、一気に形勢が有利になり、きちんとダブルを打ってパスさせました。
第4ゲーム(1-3/7)
14手目・ムーブ
- キューブフル 2-ply 10/4 7/5 Eq.: +1.592
. 0.818 0.658 0.144 - 0.182 0.002 0.000- キューブフル 2-ply 16/10 7/5 Eq.: +1.588 (-0.004)
. 0.814 0.654 0.148 - 0.186 0.001 0.000
7* キューブフル 2-ply 16/10 9/7 Eq.: +1.548 (-0.045)
. 0.804 0.650 0.143 - 0.196 0.001 0.000
. . 2-ply キューブフル prune [world class]
この手を打った後、薄々感じてはいたのですが、やはり7ポイントを作ったのは失敗でした。現在エースポイントのアンカーに加え、ツーメン・オン・ザ・バーなので、全然出られず、わざわざフルプライムにする必要はありません。むしろ、スペアマンを増やして、フレキシビリティーを上げるべきでした。
15手目・ムーブ
- キューブフル 2-ply 10/4 7/6 Eq.: +1.640
. 0.819 0.668 0.159 - 0.181 0.001 0.000- キューブフル 2-ply 10/4 9/8 Eq.: +1.569 (-0.071)
. 0.804 0.662 0.148 - 0.196 0.001 0.000
. . 2-ply キューブフル prune [world class]
前の手に引き続いて、やはり、7ポイントはいりません。1の目で崩していくべきです。また、6の目も、ブロットの9ポイントとブロックの10ポイントだったら、動かしたあともコマの残る10ポイントの方を動かすのが道理です。
このあと、ギャモンで4点を獲得します。
第5ゲーム(5-3/7)
6手目・ムーブ
- キューブフル 2-ply 15/8 Eq.: +0.362
. 0.644 0.028 0.000 - 0.356 0.029 0.000- キューブフル 2-ply 13/7 8/7 Eq.: +0.168 (-0.194)
. 0.607 0.064 0.001 - 0.393 0.068 0.001
. . 2-ply キューブフル prune [world class]
このマッチ最大のミスがここで出ます。予選のときの解析で、気をつけることにしていた、レースプランのことですが、それに反したことをしてしまいます。このときすでに15もピップで勝っていて、しかも、1枚は逃げ切っており、もう1枚もすぐ逃げられるところです。普通なら、逃がすのが当然ですが、つい7ポイントをメイクしてしまいました。
しかしこの後はミスなく打つことができ、ダブル・パスで1点を追加してクロフォードになります。
第6ゲーム(6-3/7)
5手目・ムーブ
- キューブフル 2-ply 7/5(2) 6/4(2) Eq.: +0.269
. 0.686 0.276 0.024 - 0.314 0.100 0.003- キューブフル 2-ply 23/21 13/11 6/4(2) Eq.: +0.135 (-0.134)
. 0.641 0.234 0.020 - 0.359 0.143 0.006
. . 2-ply キューブフル prune [world class]
6/4(2)は当然として、残りのあと2回をどうするかですが、7/5(2)が正解なのは、言われてみると当然に思えます。ゾロ目なので、スイッチがかなり有力ですし、7ポイントよりは5ポイント、それも4ポイントが埋まっているならなおさらよい手になるからでしょう。
16手目・ムーブ
- キューブフル 2-ply 8/5 6/5 Eq.: +0.250
. 0.632 0.351 0.057 - 0.368 0.014 0.000- キューブフル 2-ply 8/7 8/5 Eq.: +0.227 (-0.023)
. 0.621 0.339 0.053 - 0.379 0.014 0.000- キューブフル 2-ply 8/4 Eq.: +0.180 (-0.071)
. 0.598 0.323 0.051 - 0.402 0.016 0.000
4* キューブフル 2-ply 6/2 Eq.: +0.174 (-0.076)
. 0.596 0.318 0.041 - 0.404 0.018 0.000
. . 2-ply キューブフル prune [world class]
割れないようにと思って打った6/2なのですが、なんと76点のエラーがついてしまいました。正解手は8/5 6/5でした。どうも、どうしても8を割らせたいようです。というのも、あとで割れると相手のコマがだいぶ外に出てくるなどして、危険な状況に陥るから、それで先に1枚逃して、打たれたら仕方がないとでもいうのでしょう。また、5ポイントが凹んでいて、少しフレキシビリティーが悪いのを改善するのもあるのでしょうか、8/4だとほとんど同じくらいのエラーになっています。というわけで、3は8/5です。では、一方の1はどうかというと、8/7とでもするとより狙われてしまうので、6/5と軽くおさめるくらいが良いのでしょう。
この後、打たれることもなく進んで、なんと中村プロに勝利してしまいました。決勝へ進出です。
総評
ダブルのことでいうと、予選ではスイングの大きい局面のダブルは経験していないので、改めて注意しなければならないと思いました。
ムーブでは、予選での課題がある程度解決されていたので、その点良かったと思います。最も、GGなので、ピップをすぐ確認できるという点も大きかったかとは思いますが。一方で、作らなくてもいいとき、なんなら割ったほうがいいときを見分ける感覚がまだついていないように思います。また、フレキシビリティーという要素も(レースプランなど程ではなくとも)今後注目して見ていきたいと思います。